水圧用高速電磁弁
担当: 朴 聖煥、Chenvisuwat, Thum、李 忠日
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研究背景
近年、駆動システムの安全性や環境保護に対する要求や規制がより厳しくなる傾向があり、油圧システムの場合は油漏れによる環境汚染や火炎の危険性があるため水を圧力媒体とする水圧システムの開発が進んでいる。水を作動流体として用いる場合、水は従来よく用いられている鉱物油とは物性が大きく異なるため、機器の性能や耐久性に関して解決すべき問題点が生じるが、最新の材料技術や加工技術、設計の工夫により水圧ポンプ、水圧用アクチュエータ、水圧サーボ弁などの水圧機器が開発されてきている。
このうち内部漏れが少なく、作動液体の汚れに強く、低価格の制御弁として高速オンオフ弁があれば水圧システムは身近なものとなる。
しかし、水圧システムに2方向油圧用高速電磁弁を用いた場合、供給圧力2 MPa程度以上では漏れが発生することが分かった。これは油に比べて粘度が低い水の特性に起因しており、低電力化を図るため採用したバランスピストン部にはOリングがないため水の場合漏れが発生してしまう。内部漏れを防止するためにはバランスピストンを使わないポペット形式の弁が望ましいが、この場合は弁のオフ状態を維持するためのばねが強くなり、同時に大出力のソレノイドが必要となるため、それを避けるには水圧用高速電磁弁は従来の油圧用高速電磁弁とは異なる特殊な構造が必要となる。 | ||||
研究の目的と概要
本研究で開発した水圧用高速電磁弁は2段式の弁であり、漏れる水をパイロット流量として逆に利用するという特徴を持っている。 図2に開発した弁の構造の概略図を示す。大流量の水圧システムに適用するためポペット形式の大形の主弁とボール形式の小形のパイロット弁を組み合わせている。主弁とそのスリーブの間には0.03 mmのクリアランスが設けられており、主弁の上下の受圧面積はほぼ等しいが、上の方が少し大きく、ばねの力も作用しているため主弁は閉まった状態を維持している。パイロット流量を制御するボール弁のソレノイドを駆動すると、主弁とスリーブの間の隙間から水の流れが生じ、隙間を通過する際に水の圧力が降下するため主弁上部の圧力が下部に比べて低くなる。したがって主弁上下の圧力平衡が崩れ、主弁は弁座から浮き上がり、主弁の流れが発生する。
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