高剛性作動油による油圧サーボシステムの性能向上
担当: 川島啓祐、芦金石

研究背景
油圧の高出力密度特性と高応答特性は油圧技術活躍の土台である. 他の駆動方式,特に電気駆動との競合の中で油圧技術が勝ち抜くため, その出力密度と応答をさらに引き上げることが求められている. 出力密度を引き上げるには高圧化が近道である. しかし,高圧化に伴っていろいろな技術課題が生じる. たとえば,機械的摩擦損失,作動油の圧縮性による損失,内部漏れ損失の増大, 高圧に達するまでの圧力応答時間遅れの増大などがある. 特に,作動油の圧縮性に起因した課題である圧縮性による損失 および圧力応答の遅れは高圧条件下においてさらに顕著になる. そこで,高圧環境下での応答性の改善が一つの大きな課題となっている.
図1 高剛性油と通常潤滑油との液体構造比較(出光興産(株))

研究の目的と概要
本研究は作動油の圧縮性の影響を低減する方法として, 出光興産(株)が開発した体積弾性係数の大きな作動油(高剛性作動油)を用いることを検討してきた. 作動油に着目した油圧システムの性能向上の研究として, これまでにも気泡を除去する気泡除去装置の開発が行われているが, 体積弾性係数の大きな作動油(高剛性の作動油)についての検討は行われていない. そこで,一般的に作動油として利用されている鉱物油に比べて, 高剛性油の方が応答性がよいことを明らかにし, それをもとに図のような高応答特性を持つ油圧システムを開発・実現する.